こんにちは。
宝塚市の動物病院、めふ動物病院です。

少し前のお昼休みに、傷ついた野鳥を診てほしいというお電話をいただいた事があります。
基本的に多少の傷ならば野鳥・野生動物はそっとしておくのが一番なんですが
大きな怪我をして動けなくなっている時などは、保護対象となる事もあります。
ただし、忘れてはいけないのは、野鳥は身近な動物ですが、ペットとは違うと言う事です。
捕まえに行くと反撃される可能性もありますし、
どんな病気を持っているかもわかりませんので
緊急性が高いと思われる場合以外は、極力触らない様にしてください。
判断が難しい場合は、保護する前に最寄りの動物病院か
県の窓口(農政環境部環境創造局自然環境課野生鳥獣班)あるいは動物愛護センター等に問い合わせてみてください。

そんな感じで、
先日保護されたサギ(?)は開放骨折、というか、翼が千切れかかっている状況でしたので、
骨折を治療しても筋肉や血管を繋いで再生させることは不可能と判断し、断翼手術を行いました。
断翼をすると、当然一生飛べなくなるため、この野鳥が生存競争に勝ち残るのはかなり厳しくなりました。
もっとも、保護された時点で、そもそも生存競争から脱落してしまっていたのを
なんとかギリギリで競争の中に戻せたとも言えるんじゃないかとは思います。
そういう事もあって、保護してくれた中学生(?)くらいの方には、
処置が終わったら保護した場所に帰すとお話ししましたが
保護された場所が下ノ池公園との事でしたので、片翼で生存するには色々厳しい環境ではないかと思い、
私の独断で 「魚がたくさん住んでいて、水深が低く歩いてあっちこっちに渡れて、なおかつ猫などが侵入しにくく、野鳥倍率が低い川」に放鳥することにしました。

放鳥してから数日後、片翼のサギ(?)がウキウキで川の中を歩くのを見かけたので
思わず写メを撮っちゃいました。
怪我した鳥の写真を撮るとかちょっとした不審人物ですね。
彼(彼女?)がそれなりの余生を送れる事を願うばかりです
sagi

sagi2

そしてなにより1時間近くも歩いて保護鳥獣を連れてきてくれた心やさしい中学生(?)に感謝します。
でもサギサイズの鳥は、傷ついていても元気だったら近寄らないでくださいね。

今回の教訓は
「『じゃあ連れてきてください』の前に交通手段を聞いておこう」
という事で。

ではまた次回。